空き家を放置するとどうなる?「特定空家」や「管理不全空き家」のリスクとは
■空き家の放置は、もはや“自己責任”の時代へ
空き家問題が全国で深刻化する中、行政の目も年々厳しくなっています。特に**「特定空家」や「管理不全空き家」に指定されると、固定資産税の増額や行政代執行による強制解体**といった、金銭的にも大きなリスクを背負うことに。
長崎市をはじめ、九州各地でも空き家条例が強化され、**“空き家を持っている=管理責任を果たす義務がある”**という認識が必要です。
本記事では、「特定空家」や「管理不全空き家」の定義とそのリスク、そして放置がもたらすデメリットについて解説します。
■1. 「特定空家」と「管理不全空き家」とは?
まずは、これらの言葉の意味を整理しましょう。
◆特定空家(とくていあきや)とは?
「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、以下のいずれかに該当すると、市町村長が「特定空家」に指定できます。
- 倒壊等著しく保安上危険な状態
- 著しく衛生上有害となるおそれ
- 適切な管理が行われず景観を損なっている
- 周囲の生活環境の保全に悪影響を及ぼしている
◆管理不全空き家とは?
「特定空家」ほどではないものの、将来的に特定空家になる可能性がある空き家。長崎市など自治体によっては独自に基準を設け、**実質的な“イエローカード”**として扱われます。
■2. 空き家を放置すると、どうなるのか?
空き家を放置する最大のリスクは、「ある日突然、行政から通知が届く」という点です。
●固定資産税が6倍に?
通常、住宅が建っている土地は**「住宅用地の特例」で固定資産税が最大1/6に軽減されます。ところが、「特定空家」に指定されるとこの特例が適用外**になり、翌年から税額が6倍に跳ね上がる可能性も。
●強制撤去されることも
行政が是正命令を出し、それに従わない場合、最終的には「行政代執行」による強制解体が行われ、その費用は所有者に請求されます。
●近隣トラブルや損害賠償リスク
空き家が倒壊して隣家や通行人に被害を与えた場合、所有者は損害賠償責任を問われます。特に台風や地震後のトラブルは、保険でカバーできないケースも多く、“想定外の出費”が発生するリスクも。
■3. 注意すべきチェックポイント
特定空家・管理不全空き家のリスクを避けるために、以下の点を定期的にチェックしましょう。
- 屋根や外壁に破損・劣化がないか?
- 草木が繁茂して周囲に悪影響を与えていないか?
- 郵便物の放置や不法投棄はないか?
- 建物が傾いたり、ドアや窓が壊れていないか?
もし上記に一つでも当てはまるなら、早急な対処か、空き家管理サービスの利用を検討すべきタイミングです。
■4. まとめ:空き家は“資産”か“負債”か、自分で決める時代
空き家は、放置していても誰も助けてはくれません。
むしろ、放置することで“資産”が“負債”に変わる時代。
空き家を相続した、あるいは転居により放置している場合、「何もしない」ことが最大のリスクです。
対策としては以下の選択肢があります:
- 定期的な巡回・管理を依頼する
- カメラやセンサーなどで遠隔監視する
- 解体して土地活用を検討する
- 売却や賃貸などで収益化を目指す
どの選択も“行動した人”だけが、損をせずに済む方法です。
「まだ大丈夫」と思っているうちに、行政からの通告が来てしまうことも少なくありません。