「空き家管理」という選択の価値と、私たちがどうしても辞退せざるを得ない理由
〜すべての物件を受け入れられないことへの苦しさと、誠実さの両立〜
空き家管理という仕事には、大きな意義があります。
人が住まなくなった家でも、定期的に手を入れることで建物の劣化を遅らせ、近隣への迷惑や犯罪リスクを抑え、地域の価値を守ることができる——これは、所有者様にとっても、まわりに暮らす方々にとっても重要なことです。
とはいえ、空き家管理は「万能」ではありません。
どれだけ丁寧に巡回し、通風や通水、草刈りをしても、やはり「人が住んでいる状態」には敵いません。
人が日常的に使い、目を配っている家と、月に1〜2回の管理が入る家とでは、建物の傷み方に大きな差が出てくるのが現実です。
つまり、空き家管理はあくまでも「劣化を遅らせるための手段」であって、「劣化を止めるもの」ではありません。
最善策は、やはり誰かが住み続けてくれること。それが難しい場合の“次善の策”として、空き家管理が存在しているという位置づけです。
管理を辞退させていただく空き家の具体的なケース
以下のような条件が重なる空き家については、管理のご依頼を辞退させていただく可能性があります。
- 明らかに売却・賃貸の見込みがない物件
(過去に売りに出したが長期間買い手がつかない等) - 立地が極端に不便な物件
(車両が入れない、公共交通機関から遠すぎる、山間部で巡回が困難など) - 周囲の環境も管理不全であるエリア
(周囲の空き家も荒れ放題、草が生い茂る更地が多数、治安リスクが高い等) - 建物の老朽化が著しく、安全上のリスクがある物件
(屋根の崩落、倒壊の可能性などが明らかな場合)
こうした条件が重なると、「管理しても建物の寿命を引き延ばすことすら難しい」という判断に至ることがあります。
人が住む予定がなく、周囲にも改善の兆しがない状況で、管理だけを続けることは、結局“何も残らない支出”になってしまう可能性があるのです。
感情としては「なんとかしたい」でも、現実はシビアです
管理のご依頼を受けるたびに、私たちは真剣に考えます。
「この物件は本当に管理するべきか?」「費用をかけることで、何か未来につながる可能性があるか?」
答えが「YES」であれば、どんなに条件が悪くても、やれるだけのことをします。
しかし、周囲の状況、立地、物件自体の状態が重なって『可能性が極めて低い』と判断せざるを得ないとき、心苦しくても「管理をお断りする」という決断をすることがあります。
これは冷たさではありません。
むしろ、「お金をいただいて管理する」ことの責任を考えたとき、曖昧な善意では動けないと私たちは考えています。
「損をさせない」という、もうひとつの誠意
空き家の管理には費用が発生します。
しかし、地域環境が破綻していたり、活用可能性がゼロに近い物件を管理し続けても、維持コストだけが積み重なり、何の結果にも結びつかないという現実があるのです。
さらに、周囲も荒れた空き家や草だらけの更地ばかりという状態では、その一軒だけをきれいに保っても、「資産価値」や「地域の安心」は戻りにくいことも正直あります。
私たちは、そうした状況の中で「意味のある選択肢」をご提案するよう心がけています。
・解体や更地化による固定資産税の見直し
・市町村の空き家対策制度や補助金のご案内
・寄付、行政への相談ルートのご提案 など
「管理を断る」ことはゴールではなく、「一緒に考える入り口」として向き合いたいというのが、私たちの本音です。
最後に:誠実なNOが、未来のYESにつながることを願って
どんな空き家にも、思い出があり、時間が流れています。
それを大切にしながらも、「どうすれば最も損が少なく、心が楽になるか」を一緒に模索していくのが、私たちの役割です。
すべての空き家に対応できるわけではありません。
でも、その判断すらも、誠実さをもってお伝えすることが、責任ある管理事業者としての姿勢だと考えています。
迷いや不安がある方は、まずはパラソルへ状況をお聞かせください。
お話の中から、「今やるべきこと」を一緒に見つけていきましょう。
